ビジネスモデルと労働集約について考えを書いてみた。いちエンジニアの戯言です。
IT業界におけるビジネスモデル
IT業界における受託開発とSaaSのような自社サービスを例に出して考えてみる。
受託開発は、営業が案件を受注し、請負契約を結んで成果物を納品して売上が発生する。保守のような売上が毎月発生するような場合もあるが、基本的に新規案件・追加案件の受注と納品が売上の源泉になる。ということは、営業が案件を受注することも大事だし、デリバリーする部隊も大事ということで、「人」が軸になってくる。管理コストなどはさておき「人」を増やせば利益が上がる、まさに労働集約型のビジネスと言える。納期やコストを守り、品質の高いシステムを納品した結果、利益率や売上が上がるかもしれないが、トップラインを継続的に上げていくには「人」や「単価」を上げていくしかないように思える。
SaaSの自社サービスだと、営業が案件を受注するところは同じだが、サービス利用費(初期・月額)として毎月売上が発生するのが違う部分だ。売上が継続的に発生するため、仮にチャーンレートが0%であれば追加の営業をしなくても売上が発生するし、システム保守・運用費も受託開発などの初期構築費用と比べると低コスト・低リスクなため、「システム」が重要になる。システムが安定的に動いたり、継続的な機能改善を行っていくことでチャーンレートが下がり、売上貢献につながる。受託開発と比較すると労働集約性は低くなる。
とはいえ、チャーンはある程度発生するし、トップラインを伸ばすためには営業は引き続き重要だ。ほとんどのSaaSがSales Led Growthだ。継続して利用していただくためにはカスタマーサクセスやカスタマーサポートのような組織も必要になってくるかもしれない。ということで引き続き「人」は大事なのである。
このようにビジネスモデルがある程度「労働集約性」を決定づけてしまうように思えてきていて、ビジネスモデルの重要性を感じていたりする。
ソフトウェアエンジニアとしてこれをどう解釈して動いていくべきか
とはいえビジネス・ビジネスモデルを自分がどうこうできる感じでも無い。なんか良いアイデアがあるわけでもなく、正直あったとしても遂行できる感じもしない。
ということで、戦術であるところの「システム開発」を一生懸命頑張っていくしか無くて、質の高い課題を解決して、利益を出せる体質にするのがエンジニアとしての責務とも思う。エンジニアリングのケイパビリティを上げていくことは、新しいビジネスを作っていく上でも重要なはずだ。
また「労働集約」は悪いことではないと思っている。ビジネスを成り立たせるには結局「人」が一番大事、ということなのかもしれない。その上で、レバレッジの効きやすいエンジニアリングをどう活かしていくかを各組織・各プロダクトでゼロベースで考えていく必要がある。
余談
必要とされるスキルや技術もこのビジネスモデルに左右されていそうな気がする。 受託開発はデリバリーが大事なので初期開発スキルやプロジェクトマネジメントスキルが必要になり、自社サービスは保守が大事なので運用保守の開発スキル、継続的デリバリーといったスキルが必要になる。技術も浅く広くなのか、深く狭くなのか、という違いも出てくる。